空き家情報 No.002 / 米原市伊吹地域

空き家 No.002 / 米原市伊吹地域

100年を超えて見守り続けるおくどさんと、あたらしい恋をしませんか


奥伊吹に続く道を一本入り、少し坂を登る。歩きだとちょっとしんどいかもしれないが、ここの見晴らしと日当たりは大変良好。その家は、大きな庭とともにゆったりと構えている。
まず目に飛び込んでくるのが、家の右手前にある「赤石の灯篭」。集落のお宮さんのものであるが、地元産の赤石を使った大灯篭だ。この家の通りは昔、集落の中心地であったとのこと。地域の集いの場、目印であった歴史が伺える。家へのアプローチを進む間にも、ソメイヨシノや柿等、いろいろな樹木がお出迎え。取材に向かった3月中旬、もうソメイヨシノが咲いていた。庭で、季節を体感できるということ。とても贅沢で豊かだと思う。庭の樹木は大家さんが植樹し、いまも四季折々楽しめる庭になっている。この庭は、畑にしてもいいし、別の場所にも畑があるので、そちらもどうぞとのこと。至れりつくせり。



4代が100年以上に渡って住んできた家。それを見守り続けたおくどさんのある家。
母屋は2階建て。玄関入って一間、奥。そこにある3口の「おくどさん」が、家族の、家の成長を、日々見守り育み続けてきた。窯も釜も現役で、大家さんのお母様が御健在のころは、日々のごはんはおくどさんで炊き上げたという。年末年始の親戚一同大集合(こどもだけで10人以上!)の際には、おくどさんで蒸しあげた餅米で餅つきを行うことが年中行事だったとか。おくどさんの火の番は、薪拾いから火加減までこどもの仕事で、なかなかこれが難しかった、ガスで「ひとひねり」とはちがうんや、懐かしいなあ、と大家さん。
確かに手間ではあるが、家の中に火があることは、「いぶし」効果があり、家の長持ちの秘訣。昔の、生活の理にかなった生きる智恵。家の天井も、深い漆黒の良い味が出ており、その生活の知恵の歴史が生きていた。そういう智恵を、手間も愛して、大切にしていってもらえたら、と思う。そしてやはり、大家さんからも、とてもとても手間だけれども、このおくどさんを、是非使ってもらえるとうれしいです、と想いを告げられた。
母屋の2階は昔「おかいこ様」を飼っていたとのこと。桑の葉遣りもこどもの仕事で、大きくなると大人の小指ほどにもなって少しこわかった、と聞いた。(たしかにこわい…。)つむぎ機もあり、農閑期の手仕事だった、夏は蚊取線香が付けられなかったことが苦い思い出、でもこれも懐かしい、と語ってくれた。晩年は物置に活用していたようだ。
蔵は、母屋の右隣。土壁で、中はひんやりとしている。モノを保存するには最適な環境で、大きなナガモチが3個も入っていて、着物や紋付袴等がゆっくりと休んでいた。立派な桐たんすや冠婚葬祭用の漆器や食器、食膳もたくさん。家の、地域の行事の伝統や歴史が、ぎゅうっと詰まった蔵。
話は戻るが、母屋の玄関は、サッシもあるが、木戸も残っている。昔はその木戸と障子で戸締りをしており、その障子の上を少しだけ「やぶる」のが習慣だったそうだ。なぜ?-ツバメが家の中に巣をつくれるように。良いことがあるんやで。…そんな言い伝えを、たのしく語ってくれる、地域の人たちがいる。ここは、日当たりのあったかさだけでなく、ひとのあったかさも、ぽかぽかと感じる。


見晴らしの良い、坂の中腹にあるこの家。
眼下には畑があり、川があり、天然の遊び場が豊富!大家さんいわく、夏休みは1日中川遊び、足にまとわりついて仕方ないほど鮎やヤマメが昔はいたとのこと。今も、水の豊かさに自信があり、その恵みのおかげでお米や野菜も元気、自然の恩恵を体感する環境だ。どうしても冬の厳しさは確かに付き合っていかなければならない(平均積雪50センチくらい)けれども、その雪が、川を流れて恵みになる。その価値を共有してくれる人に、地域に、環境に、家に、恋してほしいと思う。そんな風に大家さんは語ってくれた。


家そのもの。歴史。環境。大家さんの想い。地域。
-空き家に恋して、地域に住んでほしい。それが、恋する空き家プロジェクト。


詳しくは、まいばら空き家対策研究会までお問い合わせください。



この家について

構成 母屋、蔵
柿(秋には実が出来る)、けやき、桜(ソメイヨシノ)、椿等。イブキさんが植樹。ふきのとうもあった(畑にあったものを植え替えたらしい)。もともとは畑もしていたので、土は柔らか。ただ、坂途中にあるため道と庭との落差が大きく、柵の必要有。こどもに安全なようにしてほしい、と思うとのこと。
特徴 【おくどさん】
あえて残し続けた。家のためにも、家の中で火を焚くことは、いぶし効果が期待でき、長持ちの秘訣となる。おばあさんはずっと使い続けた。こどものころは、火起こし/火の番が仕事。薪ストーブ等と違い、煙が薪をくべる口から出てくるので、上手に薪組みをしなければならない。火加減は難しい。冬はあったかで、火の番もたのしかった。おくどさんは、そのまま使ってもらえると、とてもとても手間がかかるが、嬉しいな、という気持ちがある。
【2階ではおかいこさま】
農閑期の手仕事として。桑の葉遣りはこどもの仕事。かいこが大きくなったら、都度分けて生育しやすいように世話をする。蚊取線香をつけられなかったのは、結果的に思い出になっている。つむぎ機も家にあった。にしても、あれは手間入りだった…。
【蔵】
蔵も一度は潰そうとおもっていた。ひさしが一部落ちているが、それは濃尾地震の際に損傷。修復する資金がないとそのままにしていた。でも、濃尾地震の際に損傷したのは蔵のひさしのみで、それ以外は無傷。その語り草のときに欠かせない「なくなったひさし」ともなっている。
 ※濃尾地震(のうびじしん)は、1891年(明治24年)10月28日に濃尾地方で発生した、日本史上最大の内陸地殻内地震。「美濃・尾張地震(みの・おわりじしん)」とも呼ばれている。辛卯の年に発生したことから辛卯震災と呼んでいる報告書もある。(ウィキペディア)




周辺環境

伊吹山小学校区 道の駅まで車で15分、コンビニまで車で6分、近江長岡駅まで車で10分。
小学校へはスクールバスで登校。
スーパーなど普段の買い物は岐阜方面で出るほうが便利かも。
家周辺特徴 少し高台にある。見晴らしは良い。庭の日当たり抜群。ぽかぽかとして、気持ち良い。
川遊び、山遊び、畑遊び。自然環境抜群。
川には、昔はびっくりするくらいたくさんの鮎やヤマメがいた。水も綺麗。眼下の畑の水源は湧水。
本邸の前は、昔、伊吹集落の大通り。なので、斜め左前は「お料理屋さん」、斜め右前は「派出所」であった。伊吹集落の中心地だった。イブキさんのお父さんは村長さんも務めていた。
家の入口には赤石の灯篭有。地元産。大きい。神社から持ってきた、ゆかりのある大石。


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こんな物件です。

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