移住事例 / 米原市伊吹地域
もう、出会ってしまったのです。2つのトンネルを抜けた先。
私が、恋して愛して慈しむ、おうち、自然、空気、恵み、地域。
移住事例 / 米原市伊吹地域
集落の少し坂の上。赤い大きな屋根の家。
この「家」に、豊かな自然に、澄んだ空気に、地の恵みに、そして地域に。つまり全部に恋してしまった1人の女性が住み、薬膳ごはんやさん「山のごはん よもぎ」を営んでいる。垂井から甲津原に来てくれた「ウエノさん」のお宅をご紹介。
ウエノさん
お子さん1人。
垂井にて「うららか」というカフェを営んでいた。
おこさんの独立を機に、「自然豊かな場所で、くらしから食を伝えたい」の夢をかなえるために物件探し開始。
初めは岐阜県内で物件探し、環境と物件でピンとくるものがなかった。
「長居」が「暮らし」になる家
ここは、いつ訪れても、ウエノさんも、おうちも、おだやかにやさしく受け入れてくれる。
ウエノさんの温和な人柄と、家の、素朴でしっかりとしながらも柔和な雰囲気がリンクして。ゆったりした気持ちになり、気が付いたら長居してしまう。水の音と鳥のさえずりが天然のバックミュージックとなり、目に飛び込む鮮やかな緑、澄んだ空気が、日々の疲れを癒してくれる。
季節の変化も、また、たのしい。春は庭のふきのとうを摘む。よもぎを摘んで、天ぷらにお茶に化粧水に入浴剤にし、毎日のくらしに生かす。庭に面する引き戸を開け放つと澄んだ空気が流れ込み、夏はクーラーどころか扇風機も不要。秋は山菜等の地の恵みがたくさん!冬は、薪ストーブが、身体の心から温めてくれる。四季折々、自然のうつろいを、じっくりとたのしむくらし。
空き家に恋した瞬間
初めは雪が心配で、寒がりなこともあり、この地域は候補に考えていなかった、とウエノさん。
研究会と話を重ね、「自然豊か×お店ができる×駐車場あり×薪ストーブを置く」家を探す中、とりあえず見るだけ見にいってみよう、と視察しにきたときのこと。曲谷までは自主的に散策もしたが、そこから先は未知の世界。
…2つのトンネルを抜けた、そのときに。
― 棚田。深い、豊かな緑。澄んだ空気。気の流れが、ちがう。
『感動した。』
交流センターに聞こえる川の水の音。改めて、元気な緑と澄んだ空気を吸いこんで。感動して、うるっとした。
『ここがいい。』
出会ってしまった。
そこからは、早かった。家を見てすぐに、「恋をした」。だって、「好き」が、全部あったから。
元建具やさんの歴史を感じるこだわりの家財、お店のできる広い間取り、駐車スペースも融通してもらえ、薪ストーブ用の煙突が残っていた。床も改修済みで、補修したのは「おふろの扉」「トイレ」「壁のしっくい」。キッチンは、お店用に配管を調整した。でも、それだけで完了。薪もひと冬分残っていて、大助かり。
家の周辺は、水の音といきものの息づきにあふれ、庭には野草があり、山の彩りが目を癒してくれる。澄んだ空気が、良い「気」が、カラダをめぐっていく。朝日で目覚め、日光を浴び、夜は天然のプラネタリウムを満喫して。
出会うべくして出会った
もうひとつ、ウエノさんが愛おしそうに話してくれたのは、この地域のひとたちの素敵なところ。
「ここはええとこやで!よう来たな!ええやろ!」と誰に聞いても話してくれるのだ、と語ってくれた。好きって、好きってことばにできることって、すてきですよね。
こんな風に、すばらしい環境と地域と澄んだ空気と「気」のめぐりの中で。カラダによいごはんを食べて、目から、耳から、口から、カラダの中から、癒されてほしい。甲津原の「地域」を凝縮した場所をつくりたい。そうして生まれたのが、「山のごはん よもぎ」という薬膳ごはんやさんだった。「よもぎ」があって、地域を知ってもらう。地域があるから、「よもぎ」がある。人と場所の、新しい交流。たのしい、循環。
出会うべくして、出会った、と思い込んでしまうくらい。素敵で、代えられない出会いだった。
ウエノさんが営む『山のごはん よもぎ』
薬膳料理。養生ごはん。地元の素材で養生ごはん。
確かに距離はあるけれども、ここにしかないものを活かしたら、ちゃんと人は来てくれる。(と勝手に思ってる!)
↑少し楽天的だといわれるかもしれないけれども、この環境を日々体感していると、そう信じたくなる。
普段忙しくて疲れた体を、いやしてあげるような場所になってほしい。薬草や野草、季節のモノで手当てする智恵を現代版にアレンジし、栄養の摂り方のひとつとして知ってもらえたら。埋もれている地元の食材にもスポットライトをあてられたらと思う。(2015年メニューでは伊吹牛乳の濃厚さを活かした杏仁豆腐でご提供)
「ほっこり」してほしい。水の音、空のちかさ、澄んだ空気。鳥の声、いきものの息づきを体感してもらえたら。
その豊かな環境と気の巡りの中で、カラダによいごはんを食べて、目から、耳から、口から、中から、癒されてほしい。
景色(音も空気も自然も)もおかず。甲津原の「地域」を凝縮した場所 = 山のごはん よもぎ
よもぎを目的にして足を運んでくれる人の流れ。よもぎがいきいきとする、この環境。この地域があってこその、よもぎ。全部をすきに、なってほしい。
この家について
構成 | ・母屋 ・蔵 ・道挟んで向かいの空き地(車3台分くらい) |
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周辺環境
甲津原 | ・道の駅まで車で20分、コンビニまで車で30分、近江長岡駅まで車で40分。 ・奥伊吹スキー場まで車で10分。 |
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移住ウラばなし
ウエノさん
物件紹介の情報を求め、市役所にいってみた⇒空き家対策研究会を紹介された。
研究会メンバーも、ウエノさんの垂井のカフェ「うららか」に遊びにゆき、物件イメージを共有。ウエノさんも、再度、自主的に集落をうろうろ探検。
研究会より、一度甲津原を見てみないか、と打診を受け、見てみることに。そして、2つのトンネルを抜けて見えたもの。棚田、深い緑、澄んだ空気。
物件を見せてもらうと、床などは綺麗に改修済みで、薪ストーブの煙突は残されたまま。元建具やさんの技術があちこちに活かされ、収納の棚の引き戸や引き戸の建具等はその当時のもの。今の見た目と、内装もそんなに大きく変わらない。出会ったときから、イケメンでした。
区長さんともしっかりお話をし、心配していた雪も、大きい道路は除雪ばっちりで、心配不要と励まされた。もっと甲津原のことを知ってほしい、とアツいきもちを受けた。
なにより、甲津原のひとたちは、『地域愛』がとてもしっかりしている。どのひとに聞いても、『ここはええとこや!よう来てくれた!』と言う。
物件探しで他の集落を見ているときには「なんでこんな辺鄙なとこに…」と言われることは多かった。この「ええとこやで!」の気持ちがステキ。
甲津原のみんなが、「ええとこやでここは!」と言っている雰囲気。
新しいウエノさんが、「ええとこやでここはほんとうに!」と言っている雰囲気。
みんなが好き、と言っている、この雰囲気がすてきなんです。
こんな物件です。
取材をしてみて
空き家研究会 伊夫貴
家と、風景と、上野さんの雰囲気と。全部が一体となって、ゆったりとした、おだやかな癒しと自然のパワーをもらうことができる場所。なにより、ウエノさんがたのしんでくらしている姿が、訪れるひとたちのこころをあたたかにしてくれます。
集落の中を散策しながらおうちに向かうのが好きで、毎回、むらの中を流れる水の音、木々の季節感を楽しみながら歩かせてもらっています。夏の緑の時期、秋の紅葉の時期、冬の、枯れて空がよく見える時期。地域のひとたちも、すれ違うと声をかけてくれて、とにかく「きもちのあったかくなる」場所なんです。
家そのものも、元々の特長を生かしながら、ウエノさんらしく手を加えていて、昔の智恵と現代の住みやすさが尊重されあっているおうちです。居心地の良さは、私のつたない文章では伝わらないので、是非行ってみてほしい!笑
地域があって、家があって、仕事をする。自分の仕事(薬膳ごはんやさん)が色々な人の目的地になって、また地域のことを知ってもらう機会になれば、人と地域が出会う場所を創りたい、とお話くださったことが、とても印象的でした。
くらし方は、多種多様です。是非、体感しにいきませんか。一緒に、おうちに、地域に、遊びに行きましょう。